藤井聡太データラボ 対局を、記録する。数字で読む。
振り返り 2026.09.13 NHK杯

繰り返しを降りる
― NHK杯2回戦、勝又清和七段に勝利

NHK杯テレビ将棋トーナメント2回戦 (9/13放送) を振り返ります。千日手が成立する一歩手前で、勝又清和七段が繰り返しを降りました。

後手番の110手

9月13日に放送されたNHK杯2回戦。 藤井聡太竜王・名人が勝又清和七段に110手で勝ちました。

藤井竜王・名人は前回優勝者のシードで、この2回戦が今期の初戦です。 勝又清和七段は1回戦で木村一基九段に勝って上がってきました。

先手は勝又七段、後手は藤井竜王・名人。戦型は雁木になりました。

動かない10手

後手番の藤井竜王・名人が銀を並べて構え、勝又清和七段は矢倉から銀を繰り出しました。

中盤に入って、角と飛車が向かい合います。 先手が角を引いて、後手が飛車を寄せる。先手が角を戻して、後手が飛車を戻す。同じ形が戻ってきます。

48手目から58手目まで、評価値はまったく動きませんでした。 解析にかけると、この間に同じ局面が3回現れています。もう一度繰り返せば4回目で、千日手が成立する場面でした。

千日手になれば指し直しです。NHK杯の持ち時間は各10分しかありません。

繰り返しを降りる

59手目、勝又清和七段は角を6四へ出ました。

繰り返しを降りた一手です。 ここで形勢が動きました。10手のあいだ動かなかった評価値が、一気に後手へ傾きます。

千日手を選ぶか、形を崩して局面を動かすか。 どちらを選んでも損をする場面は将棋にあります。この将棋の59手目が、それでした。

龍が走る

60手目、藤井竜王・名人は飛車を9九へ成り込みます。

ここからが速かった。 香を取り、龍を引き戻し、と金を作って先手陣に迫ります。先手も角を成り返して馬を作りましたが、玉に近いのは後手の攻め駒でした。

盤の左側で、後手の攻めだけが間に合っている。 評価値はここから一度も戻りませんでした。

110手で勝又清和七段が投了しました。

予想の外

9月12日のJT杯で、藤井竜王・名人は通算100敗目を喫していました。460勝100敗と報じられています。

NHK杯は収録が先で、放送はあとです。収録で負けていれば、100敗目はもう少し早く来ていたのではないか。 そんな読みから、この一局は負けていないだろうと予想されていました。

予想どおりとはいえ、勝ててよかったです。 中身のほうは予想の外でしたね。同じ局面が3回、あと1回で千日手という将棋でした。

初めて指す相手

勝又清和七段とは、これが公式戦で初めての対戦でした。

藤井竜王・名人のNHK杯通算は33戦27勝6敗になりました。 最後に負けたのは2024年3月、第73回の決勝で佐々木勇気八段に敗れた一局です。そこから11連勝が続いています。

第74回、第75回と優勝しているので、今回は3連覇がかかります。

次は3回戦。服部慎一郎七段と山崎隆之九段の勝者と対戦します。

参考 · Reference 自前解析の評価値推移
Eval · 先手視点
先手 + 後手 − 59手 60手 84手
  • 59手目 — 繰り返しを降りた 6四角
  • 60手目 — 龍を作った 9九飛成
  • 84手目 — 大勢が決した
解析条件
エンジン
水匠5
探索深さ
18
1手上限
20秒
最大変動
534cp
形勢逆転
0回
解析手数
109手

評価値は当サイトの自前解析(水匠5(YaneuraOu NNUE 9.41git 64AVX512 TOURNAMENT)/探索深さ18/1手上限20秒)。あくまで参考値で、実戦の最善を保証するものではありません。棋譜・指し手は掲載していません。