王手をかけて陣屋へ
― 王位戦第6局の見どころ
第67期王位戦七番勝負・第6局 (9/8-9 神奈川県秦野市・元湯 陣屋) の見どころ。3勝2敗で第6局を迎えるのは5度目です。過去の4度は、いずれもその第6局で終わっています。本局は後手番。
陣屋で第6局
第67期王位戦七番勝負の第6局が、9月8日・9日の二日制でおこなわれます。
舞台は神奈川県秦野市の元湯 陣屋。 藤井聡太王位(24歳)と伊藤匠二冠(23歳)の七番勝負は、藤井王位の3勝2敗で第6局を迎えます。 持ち時間は各8時間。本局は藤井王位の後手番です。
ここで勝てば、王位は通算7期になります。
王手をかけて迎えた第6局
藤井王位が3勝2敗で第6局を迎えるのは、これが5度目です。 過去の4度は、いずれもその第6局で終わっています。
- 2022年 第35期竜王戦 広瀬章人九段
- 2023年 第72期王将戦 羽生善治九段
- 2024年 第37期竜王戦 佐々木勇気八段
- 2025年 第66期王位戦 永瀬拓矢九段
4度とも4勝2敗。王手をかけた第6局から第7局へ進んだことが、一度もありません。
4度目は、ちょうど1年前の王位戦でした。 昨年は3連勝のあと2局を落として、3勝2敗。今年は黒星で始まり、勝ちと負けを重ねての3勝2敗です。 同じ星でも、そこまでの道は違います。
王位戦七番勝負の通算は35戦27勝8敗。勝率.771です。
後手番の一局
藤井王位の後手番通算は286戦220勝66敗。勝率.769です。 先手番の.879には及びません。
ただ、番勝負を決めた局に限ると景色が変わります。 これまでタイトルを獲得・防衛した36のシリーズのうち、決着の一局が後手番だったのは21回。先手番の15回より多いのです。 上に挙げた4度の第6局も、2023年の王将戦と2024年の竜王戦は後手番で決めています。
今シリーズの後手番は2局。7月の有馬・中の坊瑞苑で勝ち、8月の長崎で落としています。
神奈川で唯一の対局場
藤井王位が陣屋で指すのは、今回が4局目になります。ここまで3戦2勝1敗。
- 2023年8月31日 第71期王座戦第1局 ●永瀬拓矢九段
- 2024年9月4日 第72期王座戦第1局 ○永瀬拓矢九段
- 2025年10月7日 第73期王座戦第4局 ○伊藤二冠
3局とも王座戦でした。藤井王位が神奈川県で番勝負を指した場所は、いまのところ陣屋しかありません。 王位戦の盤がここに置かれるのは、初めてになります。 王位戦では過去に6度、第6局や第7局の会場として陣屋が用意されました。いずれもそこまで行かずに決着しています。
最初の陣屋は黒星でした。その第71期は、ここから3連勝して王座を奪っています。
6日前に同じ宿で
伊藤二冠にとっては、6日ぶりの陣屋です。
9月2日、同じ建物で第74期王座戦五番勝負の第1局がありました。 伊藤二冠は王座も保持しています。挑戦者の広瀬章人九段に99手で敗れ、防衛シリーズを0勝1敗で始めました。
守る側で座った同じ部屋に、今度は挑む側として戻ってきます。
昨年の第6局も見守った人
立会人は青野照市九段です。
青野九段が藤井王位の番勝負で立会人を務めるのは、これで16局目。棋士のなかで最も多い数です。内訳は12勝4敗。
そのうちの1局が、昨年9月9日の王位戦第6局でした。 竜巻の被害で牧之原市が開催を辞退し、会場が東京・将棋会館に移った局です。そこで藤井王位が王位を守りました。 1年後の第6局も、同じ人が盤側にいます。
青野九段は焼津市の出身。横歩取りで玉を5八に置いたまま速攻を仕掛ける青野流を確立しました。2024年6月に引退しています。
副立会人は豊川孝弘七段。 豊川七段が藤井王位の番勝負で副立会人に入るのは5度目ですが、これまでの4度はすべて王位戦の第4局でした。3勝1敗。第4局以外の盤側に立つのは、今回が初めてです。
記録係は山城正樹三段が務めます。
2日目の9日14時からは、陣屋の「源氏館」で大盤解説会。解説は豊川七段です。 事前予約制で、いったん止まっていた受付が7日18時から再開されます。
ABEMAの中継は、1日目が梶浦宏孝七段と阿部光瑠七段の解説、聞き手は本田小百合女流四段と萩田菜々子女流初段。 2日目は屋敷伸之九段と齊藤優希四段の解説で、聞き手が岩根忍女流三段と宮宗紫野女流二段です。
小田急で温泉駅へ
陣屋の最寄りは、小田急小田原線の鶴巻温泉駅。北口を出てすぐです。 1927年に開業した駅で、いまは快速急行と急行が停まります。新宿から乗り換えなしで1時間ほど。
前局の徳島は、電化された路線が1キロもない県でした。 架線のない汽車の県から、新宿直通の電車が停まる温泉駅へ。ずいぶん違う車窓が続きます。
王座戦でしか指したことのない宿で、初めての王位戦。 防衛まであと1勝の二日間が始まります。