長崎で防衛に王手なるか
― 王位戦第4局の見どころ
第67期王位戦七番勝負・第4局 (8/18-19 ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート) の見どころ。2勝1敗で迎える第4局は、藤井王位の後手番。
長崎で第4局
第67期王位戦七番勝負の第4局が、8月18日・19日の二日制でおこなわれます。
舞台は長崎県長崎市のガーデンテラス長崎ホテル&リゾート。 藤井聡太王位(24歳)と伊藤匠二冠(23歳)の七番勝負は、藤井王位の2勝1敗で第4局を迎えます。 持ち時間は各8時間。本局は藤井王位の後手番です。
長崎に盤が置かれるのは、藤井王位の番勝負171局で初めてです。
王位戦が九州に1局を置くのは、これで4年連続です。 2023年は佐賀の和多屋別荘、2024年は佐賀の洋々閣、2025年は福岡の宗像ユリックス。 夏の王位戦は、毎年8月の半ばに九州へ向かっています。
2勝1敗からの第4局
藤井王位が2勝1敗から第4局を迎えるのは、今回で16度目になります。 ここまでの15度は12勝3敗です。
落とした3つは、2021年の叡王戦、2023年の王将戦、2024年の竜王戦。 ただし、いずれもシリーズそのものは落としていません。 叡王戦は3勝2敗で奪取し、王将戦と竜王戦は4勝2敗で防衛しています。第4局の黒星は、そのまま結末にはつながっていません。
そして王位戦に限れば、そもそも第4局を落としたことがありません。 2021年の第62期、2022年の第63期、2024年の第65期。3度とも第4局を制し、いずれも4勝1敗で第5局のうちに防衛を決めています。
13日ぶりの一局
第4局は、藤井王位にとって8月5日の王座戦挑戦者決定戦以来、13日ぶりの実戦です。
その王座戦で、藤井王位は広瀬章人九段に敗れました。 勝率99%、詰みのあった局面を逃してしまい、そこから逆転された一局です。
こうした大逆転の負けは、デビューから今までに10局ありましたが、その次の対局はすべて勝ってきました。 痛い敗戦を引きずらず、きちんと勝利を収めています。
13日の間隔を置いて迎える第4局が、11局目となります。
※ 大逆転は、勝率が90%を超えた局面から敗れた対局を指します。勝率と詰みの有無は水匠5による解析からの参考値です(探索深さ12〜14)。エンジンや条件が変われば数字も変わります。
長崎の師弟
立会人は深浦康市九段、副立会人は佐々木大地七段です。 記録係は関祐人三段が務めます。
深浦九段は長崎県佐世保市の出身。2007年から2009年にかけて王位を3期保持しました。 かつての王位が、地元の対局場で立会人を務めることになります。
その深浦九段は、藤井王位と4局戦って3勝1敗。藤井王位に勝ち越している数少ない棋士です。
副立会人の佐々木七段は長崎県対馬市の出身で、深浦九段の弟子にあたります。 2023年の第64期王位戦では挑戦者として藤井王位と七番勝負を戦い、1勝4敗でした。 長崎で育った師弟が、地元の盤を見守ります。
前夜祭は8月17日18時から、対局場と同じガーデンテラス長崎ホテル&リゾートで開かれます。 2日目の8月19日14時からは同所で大盤解説会。解説は佐々木七段、聞き手は大島綾華女流二段です。
ABEMAの中継は、1日目が阿久津主税八段・川村悠人四段、2日目が木村一基九段・宮嶋健太四段の解説で伝えられます。
三局を分けた桂
第1局と第2局を分けたのは、どちらも4五に跳ねた桂でした。 第1局は藤井王位の55手目▲4五桂が誤算になり、第2局は伊藤二冠の63手目▲4五桂が形勢を損ねました。同じマスで、跳ねた側がいずれも星を落としています。
第3局も桂です。千日手模様を断ち切ったのが3七の桂、幕を引いたのが1七に打たれた桂でした。
第4局の藤井王位は後手番。後手番の通算成績は285戦220勝65敗(勝率.772)です。 第2局も後手番で勝っています。
前局の登別から、日本をほぼ縦断して長崎へ。 鉄路なら、博多から在来線特急「リレーかもめ」に乗り、武雄温泉駅で同じホームの向かい側に待つ西九州新幹線「かもめ」へ乗り継ぐ道のりです。 特急と新幹線を一度に味わえる、たっぷり鉄分補給のルート。乗り鉄としても知られる藤井王位も、ここを通って向かうのでしょうか。 終点の長崎駅は、日本で最も西にある新幹線の駅。レールの西の果てで指す一局になります。
防衛に王手をかけられるか。長崎に置かれた盤の上で、二日間の攻防が始まります。