王位戦67期 第1局
― 藤井王位、14連勝でストップ。それでも見せた粘り
第67期王位戦 第1局 (7/4-5 浜松八幡宮) を振り返ります。伊藤匠二冠が先勝。藤井王位の公式14連勝が止まりました。
14連勝、浜松で止まる
7月4日から5日、浜松八幡宮 楠倶楽部でおこなわれた第67期王位戦七番勝負・第1局。
藤井聡太王位が先手番で伊藤匠二冠を迎えましたが、138手で投了に追い込まれました。 このところ公式戦で14連勝と走っていた藤井王位。その連勝が、ここで止まりました。
そして相手が伊藤匠、というのがまた特別です。 藤井からタイトルを奪ったのは、叡王、そして王座と、伊藤二冠ただひとり。 その男が、七番勝負の初戦でも先手を取りました。
戦型は角換わり
戦型は角換わりでした。 序盤で角を交換し、藤井王位は玉を左へ囲って穴熊に。 対する伊藤二冠は、金を3一から4二へ上がって陣形を整えると、間を置かず6五歩と仕掛けます。 持ち時間は各8時間の二日制。それでも戦いの火ぶたが切られたのは、まだ1日目の午前のことでした。
55手目 ▲4五桂 ― 誤算の一手
その戦いのなかで指されたのが、55手目の▲4五桂です。
桂を跳ねて攻めをつなげにいった一手です。 ですが、これが誤算でした。 このあたりから形勢は少しずつ伊藤二冠に傾いていきます。
決してわかりやすい優劣ではありません。 ただ、押しているのは後手。 藤井王位にとっては、ここから長い辛抱が始まりました。
脅威の粘り、難解な終盤
ここからが、この一局の見どころでした。
不利を悟った藤井王位の受けが、とにかくしぶとい。 相手に決め手を渡さないよう、際どい変化に紛れを求め続けます。 伊藤二冠が優位に立ってからも、盤上は簡単には決着しませんでした。
その難解さは、じつは解析にも表れました。 この一局を検討にかけると、終盤のいくつかの局面は、AIが答えを返すのに桁違いの時間を要しました。 一手の結論を出すのに3分近くを費やし、解析の途中で何度も止まってしまったほどです。 それだけ、人にもソフトにも読み切れない、深い終盤だったということです。
投了、そして「汗が出てきた」
長い攻防の末、138手で藤井王位が投了。 伊藤二冠が七番勝負の初戦をものにしました。
終局後、勝った伊藤二冠は藤井王位の終盤をこう振り返っています。 「決め手を与えない指し方をされ、汗が出てきた」。 勝った側にそう言わせるのが、藤井聡太の終盤です。 負けはしましたが、ただでは転ばない一局でした。
ちなみに二日目の昼、藤井王位が選んだのは「150年伝承 鳥味噌鍋」。 長い将棋を、静岡の郷土の味で温めながらの一日でした。
それでも、まだ0-1 ― 有馬温泉へ
これで七番勝負は伊藤二冠の先勝。 とはいえ、まだ第1局が終わったところです。 七番勝負は先に4勝した方が勝ち。ここからが本当の勝負です。
次の第2局は、7月15日から兵庫・有馬温泉の中の坊瑞苑でおこなわれます。 藤井からタイトルを奪った唯一の男を相手に、王位はどう返すのか。 温泉地での巻き返しを、楽しみに待ちたいですね。
- 55手目 — 誤算の一手 ▲4五桂
- 73手目 — 藤井王位の粘りで盛り返す
- 118手目 — 大勢が決す(解析ソフトも長考)
- エンジン
- 水匠5
- 探索深さ
- 18
- 最大変動
- 340cp
- 形勢逆転
- 0回
- 解析手数
- 138手
評価値は当サイトの自前解析(水匠5(YaneuraOu NNUE 9.41git 64AVX512 TOURNAMENT)/探索深さ18)。あくまで参考値で、実戦の最善を保証するものではありません。棋譜・指し手は掲載していません。